魂と出会う旅(19)

『復興の力 ~国内道中最終日~』

今日はいよいよ国内ツアーの最終日。

朝起きてまずは塩釜へ。

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大震災があったとき、真っ先におとづれたのが、
この塩釜と石巻だ。
大学時代、僕はたくさんの生徒をこの地で教えていた。
その時の光景と全く異なる光景が目の前に広がっていて
なんともいえない虚無感を感じていたのを今でも覚えている。

あれから、約3年。
街は復興していた。
新しい道ができて、建物ができている。
新しくおとづれた方にはきっと震災があったようには
思えない位復興していた。

でも、町の所々に傷跡が残っている。
塩釜港をおとづれると、昔あった立派な市場はなく、
「復興市場」と称したプレハブ小屋の集合体の中で
地元の方々が力強く生きていた。

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昨年はあまり取れなかった牡蠣も今年は頂けるまでに。
店頭には立派な牡蠣がずらっとならぶ。
そこからりっぱなものを3つほど生でそのまま頂いた。

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うまい!

当たり前にこの味が堪能できる今この時に感謝したい。

この地は実はお袋との最後の思い出の地。
大学三年の秋にお袋が亡くなったが、
その正月に家族が仙台にまで来てくれて
一緒に大学の寮で年越しをすることになった。

お袋を車に乗っけて、ドライブした先がこの塩釜港。
車の中での会話が、結局最後の会話となってしまった。

改めて親不孝な人生だとつくづく思う。

この土地の一宮様は「塩竈神社」
とても立派な神社で、御本殿へはかなり急な階段を
登らなければならない。

御祈祷所でご祈祷の申込をして、別宮の拝殿に上がる。
祝詞がこだまする中で、代表者の一人として神様の前で
二礼二拍手一礼の儀式を行う。

仙台に住んでいたときも、その後仙台を訪問しても
ここで御祈祷をすることはなかった。
今改めてこれまでの人生とこれからの人生に思いを馳せて
感謝の念を唱える。

その後、海から山へと車を走らせる。
仙台と山形の中間地点に、景勝地で有名な
秋保大滝がある。

その手前700m位のところに
慈眼寺がある。

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このお寺、あの大峯千日回峰行で有名な
塩沼住職のお寺だ。

前職の社長時代に一度おとづれたことがある。
あの時は何も見えていなくて、ただすがりたい一心から
立ち寄った記憶がある。

あれから6年、久しぶりの慈眼寺は雪に包まれていた。
以前はなかった大駐車場が整備されているので、
きっとたくさんの参拝客がこちらをおとづれているのだろう。

本殿に入り、一人静かに般若心経を唱える。
心静かな静寂に包まれて、ふと我にかえる。
今も昔も何も変わっていない。
体中に血液が流れ、きちんと脈を打っている。

全ては自分の意識から生まれている幻想に過ぎない。
その幻想の中で、何を実現するかは自分次第。
様々な感情を味わいながら、自分の人生をどう生ききるか。
それがとても大切なのだとあらためて感じる。

慈眼寺からの帰りに母校の東北大学へ立ち寄る。
自分がいたころは、まだ昔ながらの校舎が数多く存在
していたが、震災後近代化が進んでしまって、
今ではほとんど当時の面影がない。

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学食もビラと看板にまみれていた当時とは打って変わって
どこかの私大のテラスカフェではないかと思えるような
作りに変貌を遂げていた。

月日は確かに流れている。
そんな時の流れを改めて実感。

結局夜まで仙台に滞在してしまったので、東北道を飛ばして
東京の自宅に戻ってきた時には午前3時を回っていた。

九州から本州一周の旅で走破した距離はおよそ4500km
あすは関東の神社へ年末のご挨拶だ。

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