パタゴニアのキャンプから
ブエノスアイレスに戻った翌日の出来ごと。
ホステルの隣にあるスターバックスで
朝の空気を感じながらコーヒーを飲んでいると
中年のおばさんが鍵をもって近づいてきた。
「これあなたたちのじゃない?」
いかにも親切で近づいてきて、気さくに
話かけてくる。
会社の同僚がまずは対応をしてくれていたが、
もうひとりのおばさんが僕に近づいてきて
鍵を確認して欲しいという。
鍵を確認して見ると、確かにホステルの鍵に
似ているが、自分たちのものではなさそうなので、
そのように伝える。
するとおばさん達は笑顔で去っていった。
それから10秒位したあとで、
違和感に気づく。
椅子の上においてあったバッグがない。。。
すぐさまおばさんのあとを追いかけると
お店から同僚の声。
「はっとりさん!!!逆方向らしい!」
おばさんはおとりで、本当のスリは一気に
逆方向へ走り去ったとお店にいた他の客が
教えてくれたのだ。
一気に走ってあたりを見渡したが、
すでにあとの祭り。
空港へ立つ直前であったために、
普段は分けて荷物にいれてある国際免許や
クレジットカード類、日本円、ペソ、携帯電話
鍵、手帳などいわゆる貴重品のたぐいをすべて
持って行かれてしまった。
数年前にニュージーランドのオークランドの
ハーバーでやられたのと全く同じ。
あの時はPCまでやられてしまって本当に困惑したが、
今回はPCはホステルにおいてあったので、被害から
まぬがれた。
ただ、前回のように現地スタッフの協力を得ることは
できないので、すべて自分で解決するしかない。
当然3時間後に迫っているフライトには
乗ることができないので、仲間に空港でフライトの
キャンセルだけするように告げて、
まずはゆっくりと作戦を練る。
問題点は以下のとおり。
1.パスポートがないこと
2.クレジットカードがないこと
3.現金がないこと(円もペソも)
4.帰国便が米国経由でESTAが失効すること
5.そのため帰国の手段が現在ないこと
まぁなかなかタフなシチュエーションだ。
その中でもパスポートがないのが一番問題。
こればかりは融通が利かないからだ。
さて、どんな作戦でこの状況を打破しようか?
物語は続く
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