感情翻訳機
文化祭の出し物で作った「感情翻訳機」は、
ただのガラクタのはずだった。
段ボールのヘルメットを被ると、
相手の心の声がスピーカーから流れる仕組み。
「好きだよ」
意中の彼女に被せると、
機械が機械音でそう告げた。
「えっ」と驚く僕に
彼女は真っ赤になって
ヘルメットを脱いだ。
「これ、壊れてるよ。私、何も言ってないもん」
でも、彼女の手に握られた僕の翻訳機は
まだチカチカと緑色に光っている。
「……実はね、電池入ってないんだ、それ」
僕が白状すると
彼女は一瞬固まり
それから僕の翻訳機よりも
大きな声で笑った。
「じゃあ、今の言葉は本物だね」
(完)


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