完璧な身代わり

-完璧な身代わり-

「双子で良かったよ。君がいれば、僕のアリバイは完璧だ」

兄は返り血を拭いながら
鏡合わせのような僕に笑いかけた。

一時間前、彼は借金取りを刺した。
その間、僕は彼になりすまして、
賑やかなパーティ会場で大勢と乾杯していたのだ

「さあ、服を替えよう。
 君は僕として家に帰り、僕は君として街を出る」

僕たちは無言で服を交換した。
完璧な計画。
警察が来ても、パーティにいた「兄」を疑う者はいない。

「じゃあな、弟よ」

兄が僕の肩を叩き、部屋を出ようとしたその時。
僕は背後から、彼が使ったのと同じナイフを突き立てた。

「……え?」

崩れ落ちる兄に、僕は耳元で囁く。

「実は僕も、一時間前に人を殺してるんだ。
 パーティにいたのは、僕じゃなくて『僕に変装した僕の愛人』だよ」

明日、死体で発見されるのは「兄」ではなく、
指名手配犯となった「僕」だ。

そして僕は、潔白な「兄」として新しい人生を始める。

(完)

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