鏡の中の共犯者

-鏡の中の共犯者-

アリバイ工作に、最新の「AIホログラム」を使った。

あらかじめ撮影しておいた自分の映像を自室に投影し
オンライン会議に参加させる。
その隙に私は裏口から抜け出し、憎い上司を始末した。

戻ってきた私は
会議を終えたホログラムの自分と鏡合わせのように向き合い
勝利の美酒に酔いしれた。

「完璧だ。映像の中の私は、一歩もこの部屋を出ていない」

翌日、刑事がやってきた。

「昨夜、上司の方が殺害されました。あなたのアリバイを伺いたい」

「ずっと家でオンライン会議に出ていました。録画データもあります」

自信満々で提出したデータ。
だが、刑事はそれを数秒見ただけで私に手錠をかけた。

「なぜだ! 私はちゃんと映っているはずだ!」

「ええ、映っていますよ。でも、おかしいんです」

刑事は画面を指差した。

「あなたの背後の時計、電池が切れて止まっていましたよね?
 でも、映像の中の時計は……『未来の時間』を刻んでいる。
 あなたがこの映像を撮ったのは、事件より前の、時計が生きていた時間だったんですね」

未来に備えた準備が、私の過去を暴いてしまった。

(完)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次