-完璧な断捨離-
「ミニマリスト」を気取るのは、証拠を消すのに好都合だった。
邪魔になった共同経営者を山中に埋めた後、
私は彼の遺品を徹底的に処分した。
彼の服、靴、書類、そして愛用していた高価な腕時計。
すべてを中古ショップやゴミ処理場へ分散して捨て
私の部屋からは「彼の存在」が完全に消えた。
「警察が来ても、彼がここに来た証拠なんて一つも出やしない」
一週間後、刑事が訪ねてきた。
「彼が行方不明です。最後に会ったのは?」
「一ヶ月前ですね。それ以来、連絡もありません」
私は完璧な無表情で答えた。
刑事は室内を見渡して
「本当に何もありませんね」と感心したように呟いた。
「ところで、お宅のロボット掃除機、お借りしてもいいですか?」
刑事は掃除機のダストボックスを開け、小さな透明の粒を取り出した。
「これは……彼の腕時計の風防ガラスの破片ですね。
あなたが彼を殴った際、飛び散ったのでしょう」
徹底的に片付けたはずの部屋で
唯一、私の「自動化された共犯者」だけが
主人の罪を律儀に拾い集めていた。
(完)


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