-運命の赤い糸-
「私たち、絶対に運命だと思うの」
彼女はそう言って、僕の小指に赤い刺繍糸を巻き付けた。
出会いは半年前。
僕が落とした財布を彼女が拾ってくれたのがきっかけだ。
趣味も、好きな映画も、誕生日の数字まで同じ。
これほど気が合う女性には二度と出会えないと確信していた。
幸せな同棲生活が始まって一ヶ月。
彼女が買い物に出た隙に、
僕はクローゼットの奥で一冊の古いノートを見つけた。
そこには、僕の数年分にわたる行動記録がびっしりと書き込まれていた。
『〇月〇日、カフェでコーヒーをこぼす。わざと隣に座る準備をしたが断念』
『〇月〇日、財布を盗むことに成功。明日「拾った」と声をかける』
背後でドアが開く音がした。
「運命ってね、自分で手繰り寄せるものなのよ」
振り返ると、彼女の手には新しい「赤い糸」――スタンガンのコードが握られていた。
(完)


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