-消えた結婚指輪-
結婚式を間近に控えたある朝、私の婚約指輪が姿を消した。
寝る前に外して置いたはずのドレッサーの上は空っぽ。
泥棒の形跡もなく、同居している彼を疑いたくはなかったけれど、
最近の彼はこそこそと夜中に外出を繰り返していた。
「……ねえ、指輪、知らない?」
意を決して尋ねると、彼はひどく動揺して目を逸らした。
「ごめん、知らないよ。探しとくから」
その日から、彼への不信感は募るばかり。
借金でも作ったのか、それとも別の誰かに……。
一週間後の私の誕生日。
彼は私を、二人が初めて出会った公園へ連れ出した。
「指輪、見つけたよ」
彼が差し出したのは、あの日失くした指輪――ではなく、
さらに輝きを増した、見違えるような指輪だった。
「実は、君が寝ている間に指輪のサイズを測り直して、
こっそり裏側に僕たちの新しい誓いを刻印しに行ってたんだ。
職人さんに無理を言って、夜通し仕上げてもらったから……遅くなってごめん」
疑っていた自分を恥じながら、私は彼の温かい胸に飛び込んだ。
(完)


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