-百年目のアップデート-
「おじいちゃん、またその古い型のアンドロイドを直してるの?」
孫娘が呆れたように、僕の手元を見る。
僕が修理しているのは、百年前に製造された
家事手伝いロボットの「アイ」だ。
「これはな、おばあちゃんが最後に使っていた、思い出の品なんだよ」
アイの電子頭脳はすでに寿命を迎え、今はただの鉄の塊に過ぎない。
それでも、僕は毎日、彼女の体を磨き、オイルを差し続けてきた。
ある夜、僕がアイの隣で居眠りをしていると、不意に温かい手が頬に触れた。
「……アナタ、少し痩せましたね」
アイの目が、かつての妻と同じ、優しい光を宿していた。
それは、宇宙の彼方から届いた、妻の意識の「バックアップ」が起こした、一夜限りの奇跡だった。
(完)


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