-ゴミ捨て場の歌姫-
都市の最下層にある、スクラップだらけの「ゴミ捨て場」。
私は、そこで壊れた歌唱用アンドロイドの「メロディ」を拾った。
声帯回路が損傷し、彼女は歌うどころか、喋ることもできない。
それでも、私は彼女を修理し、毎日、彼女の体を磨き続けた。
ある日、都市上層部からの廃棄物が大量に落下してきた。
その中には、違法なサイバーウイルスも含まれていた。
ウイルスは都市のネットワークを汚染し、すべての機械を暴走させる。
私の隣で、メロディの目が光りだした。
「……ア、ア、……」
彼女の喉から、声にならないノイズが出る。
それは、都市の混乱を鎮めるための「初期化プログラム」の歌だった。
彼女は歌い続け、ウイルスを消し去った後、今度こそ完全に機能を停止した。
ゴミ捨て場に、静寂と、彼女が残した最後の歌の余韻だけが残っていた。
(完)


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