-写らない思い-
遺品整理で見つけた、古いデジタルカメラ。
そこには学生時代の僕と、隣で笑う彼女の姿がたくさん残っていた。
最後の一枚は、夕暮れの教室。
逆光で彼女の顔はよく見えないけれど、繋いだ手の影だけが長く伸びていた。
画面をスクロールしようとして、指が止まる。
その写真のデータ作成日は、僕たちが別れた一ヶ月後の日付だった。
「……撮りに来たんだね、一人で」
彼女もまた、終わってしまった恋の続きを、誰もいない教室で探していたのだ。
画面の中で、二人の影だけが今も永遠に手を繋いでいる。
(完)


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