-ラストシーン-
小説家志望の彼と、それを支える彼女。
「傑作が書けたら結婚しよう」
それが二人の合言葉だった。
けれど、彼の原稿はいつまでも完成せず、
生活のすれ違いから彼女は家を出る決意をした。
最後に一度だけ、彼の書きかけの原稿にペンを入れた。
『主人公は、一番大切なものに気づいて追いかけました。おわり』
数年後、本屋に一冊のベストセラーが並んだ。
タイトルは『書き置きの続き』。
最終ページを開くと、あとがきにはこうあった。
「この結末をくれた君へ。僕の物語は、まだ君を待っています」
顔を上げると、サイン会の列の最後に、あの頃と同じ顔をした彼女が、一冊の本を抱えて立っていた。
(完)


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