初雪の忘れ物

-初雪の忘れ物-

「雪が降ったら、またここで会おうね」

そう約束した冬から、三度目の初雪が舞い落ちた。
あの日、些細な喧嘩で別れて以来、一度も連絡は取っていない。
それでも私は、いつもの待ち合わせ場所に立っていた。
かじかんだ手に息を吹きかけながら、来るはずのない人を待つ。

「……やっぱり、いた」

背後から聞こえた声に心臓が跳ねる。
振り向くと、鼻の頭を赤くした彼が、三年前と同じマフラーを巻いて立っていた。

「ずっと、雪が降るのを待ってた。自分から謝る勇気がなくて、空のせいにしようと思って」

重なり合った二人の足跡の上に、新しい雪が優しく積もっていった。

(完)

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