ショートストーリー– category –
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ショートストーリー
お金の無い世界①
『無代価社会』 エフ氏はある朝目覚めとともに奇妙な感覚に襲われた 枕元に置いてあったはずのスマートフォンが跡形もなく消えていたのだ それだけではないタンスの中の予備の現金も銀行の通帳もクレジットカードもすべてが消えていた 慌てて窓の外を見る... -
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純化の果て
『純化の果て』1.魂の洗濯屋 エフ氏は都会の喧騒と複雑な人間関係に疲れ果てていた。 仕事のノルマSNSでの誹謗中傷そして将来への漠然とした不安。 現代社会はエフ氏のような繊細な人間が生きるにはあまりに毒素が多すぎた。 「もっと清らかな魂が洗... -
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ドラえもん
『ドラえもん』1. 救世主の出現 エフ氏は自他ともに認める「人生の落伍者」であった。 仕事をしては失敗し借金に追われ住んでいるアパートの家賃さえ滞っている。 彼はある夜机の前に座り遺書を書こうかと真剣に悩んでいた。 その時である。 カチリと音が... -
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全自動の喝采
『全自動の喝采』 エフ氏は絶望していた。 彼の職業はユーチューバーである。 といってもかつてのようにカメラを回し奇妙な実験をしたり大声で笑ったりする手間はもう必要なかった。 今の時代動画制作はすべて個人専用のAIが代行してくれる。 AIはエフ... -
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幸運の領収書
『幸運の領収書』 1.降って湧いた巨星 エフ氏はいたって平凡な男だった。 平凡な会社に勤め平凡な月給をもらい平凡なアパートで一人暮らしをしていた。 彼の人生には劇的な波風など一度も立ったことがない。 それは彼にとって退屈ではあるが平穏な日常だ... -
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究極の代行者
その時代、AI(人工知能)はもはや単なる道具ではなかった。 それは個人の「生活そのもの」を最適化し代行してくれる最も親密なパートナーとなっていた。 エフ氏はこの新しい文明の利器を最大限に活用している男だった。 彼はある日最新型のパーソナルA... -
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知能の代償
エフ氏は紛れもない天才だった。 それも単に成績が良いとか発明が得意だとかいうレベルではない。 彼の頭脳はあらゆる事象の「先」を瞬時にかつ完璧に計算してしまうのである。 彼が街を歩けば向こうから来る男の足取りからその男が三歩後に石に躓くことが... -
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至高の投資
『至高の投資』 エフ氏はこの世で最も成功した実業家の一人だった。 彼の人生の指針は単純明快「損をしないこと」である。 若いうちに巨万の富を築いた彼は美味しいものを食べ豪華な屋敷に住んだが常に一つの不安に苛まれていた。 それは死の問題だった。 ... -
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エフ氏の非公式な心臓
『エフ氏の非公式な心臓』 エフ氏は、この世から「恋愛」という名の非効率なバグが排除されるべきだと考えている男だった。 彼にとって、街中に溢れるラブソングは「聴覚への不法侵入」でありバレンタインデーは「カカオ豆の価格操作キャンペーン」に過ぎ... -
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先送りマシン
『先送りマシン』 その国では、政治が極めて安定していた。 暴動もなければ、革命も起きない。野党の突き上げもあれば、与党のスキャンダルもあるのだが不思議と政権が揺らぐことはなく社会はぬるま湯のような平和の中に浸っていた。 その中心にいたのが代... -
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効率的な救済
『効率的な救済』 エフ氏は、実に現代的な男だった。無駄を嫌い、効率を愛し、すべてを合理的に処理することに喜びを感じていた。 彼の住む社会もまた、そうした価値観を共有していた。食事は完全栄養カプセルで三秒で済み、移動は転送装置で一瞬だ。睡眠...
