【第30回】悟って今を生きる

ブッダは「菩提樹の木の下で悟りを開いた」って聞いたんですけど。

そう伝えられてますね。

「悟りとは何か」っていうのを、ずっと考えてたんですよ。

何か分かりましたか。

以前は「死後の世界」みたいなものを、生きながら見ることじゃないかと考えてたんですけど。

そうじゃないと。

だって、オレンジャーさんは見えるわけでしょ。

はい。でも、私は「悟ってる人間」には見えないってことですね(笑)

そうなんですよ。で、また新たな仮説を立てまして。

ほう。どんな仮説ですか?

オレンジャーさん、言ってましたよね?生きている限り、絶対に不安は0にはならないって。

はい。完璧にゼロにするのは不可能だと思いますね。

どんな金持ちでも、どんなに健康でも、この先何があるか分からないし、必ず死ぬわけですからね。

そうです。未来は誰にも分からない。

だから、先のことを考えると、絶対に不安になるじゃないですか。

なりますね。

なので「生きながら、肉体を持ちながら、完璧なる不安ゼロ」を成し遂げた状態。それが悟りなんじゃないかと。

そう思い至ったんですね。

はい。で、完璧なる不安ゼロを成し遂げようとすると、今この瞬間だけを100%生きるしかない。

おっしゃるとおりだと思います!

やっぱりそうですか。

禅であったり、ヨガであったり、修行僧であったり。アプローチの仕方は違うんですけど、求めてるところは結局全部同じだと思います。

それはやっぱり「不安をなくす」ってことですか。

不安とか悩みとか。要は現世での苦しみから解脱すること。仏教の世界ではそれが悟りの境地ですね。

そのために皆さん、修行しているわけですか。

まあ、そういうことですね。

どうやったら解脱できるんですか?

段階がありまして。

段階?

「あなたは私であって、私はあなたである」というのが第一段階。

「相手の身になって考えろ」ってことでしょうか。

自分たちが「どういう立ち位置にいるのか」っていうのを学んでいくんですけど。

 立ち位置?

昔の中国に、牛と自分の立ち位置を示してる「十牛図」ってのががあるんですけれど。(参考:http://www.tees.ne.jp/~houjuzan/jugyuzu.html
 

牛の立ち位置ですか。よく分かりませんね。

要は「自分と牛」を、どう認知してるのかっていうのを、その絵で確認していくんです。

う〜ん。むつかしい。

で、最後の最後はどうなるかというと、自他の区別も含めて「あるもないもない」っていう状態までもっていき、さらにその上で現実の世界に還ってくるんです。

あるもないもない。ややこしい。

要は「悟りたい」であるとか、自分が今「苦しい」とか「苦しくない」とか考える時点で、悟りじゃない。

じゃあ、悟りって何なんですか?

その概念すらも超越してしまっている状態。「今、ここに、ただあるのみ」っていう状態。僕も、まだとてもそこまで行けませんけど。

今だけを生きるって、言うのは簡単ですけど。ちょっと不可能なんですよね。

難しいですよね。

だって「今」って言った瞬間に、今じゃなくなるわけですから。

そうですよね。1秒前も1秒後も今ではない。

時間を止める以外に方法がないんですよ。でも時間は止められない。

今というのは点ですからね。点というのは抽象的概念で、現実に体現しようとするととたんにハードルがあがりますね

そうですよね。時間という線の中のひとつの点。でも点って存在しないじゃないですか。

概念では点といいますが、現実世界には存在しませんからね。少なくとも私たちが認知できる五感の世界では。

ですよね。だって紙に点を書いた瞬間に、それは面積を持った面になりますから。

はい。点というのは概念の世界の話です。

でも「今」っていうのは点ですよね。ということは「今」も概念ってことじゃないですか。「今」は存在しないんですか?

今を認識しようとすると、とたんに消滅してしまうような感じですね。逆説的ですけれども。

逆にいうと「今が存在する」とすれば、「時間は存在しない」ってことになりませんか?

まさに!その通りです!

実感として「今」は確かに存在する。だから「時間は存在しない」という結論に、私は至りました。勝どきで。

なぜ勝どき?

家が勝どきだからです。でもどうなんですかね。「今を生きる」ってことは「時間の概念を超える」ってことですか。

はい、まさに自分自身が生み出している時間意識、時間概念を超えるということだと思います。

実際どうなんですか?時間はあるんですか。

ないです。時間はありません。

やっぱり、ないんですか!

時間は人間が作っている幻想です。

誰が作ってるんですか?

私たち「ひとりひとり」の意識が作ってるんです。

じゃあ、時間は流れてない。

流れてないし、月の周回軌道を超えると、時間の概念はなくなります。

月の周回軌道って何ですか。

38万キロ先を月が回ってるじゃないですか。

回ってますね。

月が周回軌道を回ることによって、この時空間みたいなものを固定化しているんですよ。

ちょっと意味がわかりませんが。

つまり月の周回軌道の内側にしか、時間という概念はないということです。

え?突然時間が消えるんですか。

時間が消えるんじゃなくて、時間という概念がなくなるんです。

なぜ、そんなことが分かるんですか?

幽体離脱で月の周回軌道を超えた瞬間に、その概念がなくなったからです。

なんと!月も超えられるんですか、幽体離脱で。

はい。

で、時間の概念がなくなると。

はい。

でもオレンジャーさん、今も腕時計をしてるじゃないですか。なんか疑わしいんですけど。

一応、肉体を持った3次元の人間として地球で生きていますので。(笑)

時計が動いてるのと、時間が経過しているのとは、違うんですか?

ドラクエって、ゲームの中の設定として、ゲーム内時間ってあるじゃないですか。

ドラクエですか?はい。ありますね。ゲーム内時間。

あの時間とプレイヤーの時間って明らかに違いますよね。

まあ、違いますよね。当然。

プレイヤーの1週間が、ゲームの中では一生だったりする。あの感覚に近いです。

ロールプレイングゲームの感覚ってことですか?

そう。ゲームの中の時間は、プログラムで作られた時間の概念でしかない。

まあ、ゲームの中ではそうですよね。

ゲームの世界って、閉じてるじゃないですか。

ゲームの中でってことですか?

はい。僕らのいる、この世界も同じなんですよ。

どういうことですか。

月の周回軌道の内側で閉じているんですよ。

このリアルな世界がゲームだと?

はい、電子ゲームとの違いは五感を伴っているかどうかの差だけです。その差も科学技術の向上でどんどん埋まってきていますよ。

<第31回へつづく>

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