【第31回】記憶は誰のもの

常々疑問に思っていることがありまして。

何ですか?

記憶のことなんですけど。

今日のテーマは記憶ですか。

はい。もしも前世があるとしてですね。

はい。

前世記憶を一応消去された状態で、今私たちはいますよね。

厳密には消去されているわけじゃないですけど。

どこかにあるんでしたよね。死んだらその、置いてきた記憶が一気に戻るって。

肉体を離れたあとの話ですね。

はい。戻るんですか?

まず近い記憶から蘇っていくんですけど、数個前ぐらいまでの過去生までの記憶は間違いなく全部蘇ります。

それは一瞬で?

一瞬で。少し古いものになりますが、デスノートっていう漫画をご存知ですか?

知ってます。死神のやつですよね。

あの主人公のライトくんが、一時的に自分がノートを持ってる記憶を消すシーンがあります。

ありましたね。そういうシーン。捕まりそうになって自分の記憶を消す。

漫画の中では、「ノートの所有権を手放す」ってことを宣言するんですけど。もう1回ノートを手にした瞬間にばーってダウンロードされて一気に記憶が蘇る。

はい。一瞬で記憶が戻ってくるシーン。

あのシーン、めっちゃリアルなんです。あんな感じです。

死んだらあんな風になると。 

僕は「死ぬ3秒前」って表現でよく説明するんですけど。

死ぬ3秒前?

死ぬってことがほぼ100%確定になった瞬間に、その情報ダウンロードが起き始めるんです。

なんと!

生きているうちは、生存に必要な記憶にのみ脳は意識を限定することで、生存確率と効率を高めていますが、死ぬことが確実になればその必要がなくなって一気にアクセスできなかった領域にアクセスできるようになるんです。

そうなんですね。

だから、この3秒の間に「しまった」って思う時があるんですよ。もっとやっとけばよかったみたいな後悔が。

たった3秒の後悔。

感覚的にはもっと長いですけどね。

蘇ってくる記憶の中には、現世の記憶も入ってるんですか。

もちろん入ってます。

我々はジジイになっていて、だいぶ物忘れがひどいですよね。この物忘れの部分も蘇るんですか?

(笑)蘇ります!

おお!よかった。

良いかどうかは分かりません。御本人にとっては、思い出さない方がいいこともきっとありますからね。

確かに。でも記憶って、脳みその中にはないんでしたよね?

はい、脳みその中にはないです。私は脳科学者ではないので、詳しくは言えませんが、パソコンのように特定の情報がどこかに記憶されているのではなく、それぞれの細胞がつながるパターンによって出入力が可能になっているようです。

じゃあ、なぜジジイは記憶があやふやになるんですか?

脳みそがパターンを呼び起こすためのチューニング能力が落ちるからです。

脳みそのチューニング能力?どこかから記憶を取ってくる能力ってことですか。

はい。

メモリーはどこにあるんでしたっけ?

前にもこの対談でご説明したと思うんですけど、原子の間にも大きな隙間があって、そういうミクロの領域に全部畳み込まれてるんです。

じゃあ、我々の身近なところに。

そうです。ある意味で一つの小宇宙が目の前に数え切れないくらい存在しているんですよ。

じゃあ、脳みそ以外の細胞の中にも、記憶が畳み込まれてるんですか?

そういうことです。たとえば体に関するトラウマを抱えてる人は、筋肉にその記憶が畳み込まれてるケースが多いです。また人の強い念は、肉体ではなく、その場所に存在するものに宿るケースもあります。呪縛霊なんかはその一つの形態ではないかと思います。

筋肉に記憶が畳み込まれてると、どんなことが起こるんですか?

例えば、筋肉に宿った記憶によってトラウマが発生している場合は、その箇所を物理的にほぐしてあげると、トラウマが解消したりとかするんです。

ホントですか!

体だけじゃなくて、空間、物質、すべてのものに記憶が畳み込まれてる。それが僕の見解です。

他人の記憶と混ざったりしないんですか?

正常に脳が機能している場合は混ざったりしませんが、その機能が弱まったり、狂ったりすると、他人の記憶もひっくるめて、自分の記憶と勘違いしてしまったり、人の意識では難しい高い俯瞰的視野で世界を見ることができることもあります。

それは達人みたいな人ですか?

そうですね。俯瞰力が高まれば高まるほど、自分という意識がどんどん薄まっていきます。悟りなどはこうした体験の一つかもしれません。普通の人は自分の五感が及ぶ領域の範中で、自己を認知していますが、達人となるともはや神の視点と呼べる世界で生きているかもしれないですね。

じゃあ、人間の数だけ記憶があるってことですか?

地球上で言えば、そうなりますね。

でも、地球上の人間の数って、変わり続けてるじゃないですか。

はい。

だったら計算が合わないんですけど。前世が足りない。

それは繋がってるから。

繋がってる?

人類って、元を辿ればアフリカで生まれた1人にたどり着くんです。その記憶が枝分かれしていろんな記憶と繋がってる。

じゃあ、同じような前世の記憶を持った人が、いるってことですか?

過去に遡っていけば、必ずいますね。

それが、いわゆるソウルメイトって人なんですか。

ソウルメイトって言葉は、人によって定義がバラバラなんですけど、まあそうですね。

バラバラ?

昔(過去生で)付き合ってた人をソウルメイトって呼ぶ場合もあります。

なるほど。

でも、根源的に言えば、おっしゃる通りです。魂のソースが繋がっている存在のことですね。

じゃあ、究極的にはみんなソウルメイトですね。1人から始まってるわけですから。

ビックバンまで遡れば、すべての万物はソウルメイトですね。

え!人類になる前?そこまで記憶が残ってるんですか。

ここを思い出すのが、究極の悟りじゃないかなと思います。

究極の悟り?

たとえば安田さんは、他の人やものとは違いますよね?

そりゃあ、違いますよ。

その、ひとつひとつの差を、ぜんぶ失っていく作業。

差がなくなると、どうなるんですか?

すべてが自分って感覚が生まれて、すべてはひとつという状態になって行きます。

なるほど。それが究極の悟りだと。

僕はそう感じています。悟り=差取りですからね。

じゃあ、自分を他人から区別していくというのは。

悟りの真逆で、それが自分というエゴ意識の正体です。自分とは自ら分かつと書きますよね。普通の人間は、それぞれの世界の中に入ってしまっているので、自ら分かつという感覚が無いんです。

それぞれの世界?

肉体に繋がれてしまってるということです。

肉体を持ったままでは、その境目は越えられないと。

アスペルガー症候群と呼ばれる症状があるんですけど、ご存知ですか?

はい、知っています。

普通の人は肉体という個体に押し込められてるので、自分の自意識しか認知できないんですけど。

まあ、そうですね。

でも彼らは、他意識みたいなところまで感じ取れてしまうんです。だから生きづらいわけです。人の嫌なところとかも全部見えちゃうんで。

自分を超えて感知できるってことですか?

はい、様々なタイプの人がこの世界にはいて、僕たちの常識的な感覚とは違う人たちも現実に存在しているってことです。だから僕は、彼らが異常者だとは思わないんですよ。一つの通常と異なる特性とか特徴という感じですね。

自閉症って言われてますけど、逆に僕らのほうが閉じてるってことですか?

そうです。自閉症の人のほうが実は開いているんです。どこに軸足を置くかによって全ての見え方が変わってきますね。

<第32回へつづく>

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