【第８回】死ぬことと消えること

はい。元々恐山に行こうとしていて、でもまだ山が開いてなくて行けなかったんですよ。で、その土地のおじさんに「仏ヶ浦っていう場所があるから行ってみれば」って教えて頂いたんです。

で、せっかく教えていただいたんだから、仏ヶ浦まで行こうかってことになったんです。下北半島の斧の形の真ん中の辺りなんですけど、ずっと車で下北半島を周りこまないといけないんで、陸奥からでも結構な距離なんですよ。

はい。で、ロングドライブして現地に行ってみました。駐車場に車を置いて、長い階段を下りて行って、海辺まで行ったわけです。

波は多少荒かったんですけど、危険な感じは何もありませんでした。岩場のところで彼女と２人で記念撮影をしていた時に、海側から「やばい！大きな波が来る」っていう気配がしたんです。

それで「本当にやばい」って叫んだ瞬間、記憶がなくなって。

はい。それで次に目を開けた時には、目の前に、血だらけになって倒れている彼女がいたんです。

彼女も始めは気絶してたんですけど、すぐ気がついて。僕を見て「ぎゃー！」って叫んだんですよ。

「オレンジャーさん、頭から脳みそ出てる！」って言われて。

触ってみたら「何かあるな」という感じで。「あ、本当だね」って。

いやいや。僕は動転していて「とにかく波打ち際にいたらやばいから」と、彼女を背負って行こうとしたら「動いたらダメ！」って。

彼女の方が冷静で「とにかく携帯電話貸して」って救急隊を呼んで。

へき地だったので、来るまで１時間半ぐらいかかったと思います。

はい。救急隊が来て「首が折れてる可能性があるから、絶対に動かしたら駄目だ」って。

いや、落ちてないです。

崖というか岩場ですね。波打ち際から５メートルぐらい手前の岩場。海をバックに写真を撮ろうとしていたところまで覚えてます。

はい。

倒れてて血だらけになってました。

はい。でも、実際は脳みそではなくて、ちぎれた耳の一部だったようです。服は漏れていませんでした。

確かに！。その流れは、全く考えていませんでしたけど。（笑）。

その後病院に運ばれて全身検査したところ、頭がかなり切れてて、耳が裂けていて、首が折れてたっていうわけです。

全治６カ月の診断だったんですけど、１ヶ月半で完治しました。

はい。首の骨まで繋がりました。

一応事故っていうことで届けたんですけど、警察には凄く不審がられました。

濡れてないのもそうですし、切れ方とか、ぶつかり方とか、折れ方がおかしいって。

２方向から同時に力がかからないと、こういう折れ方はしないって言っていました。バットかなんかで殴られたような力のかかり方してるから、誰かに襲われたはずだって言うんです。

でも、岩場にはぼくたち２人しかいなかったんです。絶対に。

結構しぶしぶでしたけど。警察も事故で処理してくれました。

事故原因はその後、福岡でいつも見てもらっているスピリチュアル整体の先生に教えてもらいました。

はい。ズレたまま首が繋がると嫌だったんで。チューニングしてもらいに行きました。で、その先生も大事故で寝たきりの人生を何年も過ごされていて、壮絶なリハビリの結果、元に身体を戻されたんですけど、そのプロセスで特殊な能力が開花して、霊とかが分かるようになったらしいんですよ。

はい。いくつかの霊体が、まだくっついていると言われました。現場に行ったわけじゃないから１００％とは言えないけど、たぶん相当な数の霊体にやられたはずだって。

言われてみればたしかに「一斉に襲われた」みたいな感覚でした。その気配を波と捉えて、波に襲われた感覚になったんじゃないかと、その先生はおっしゃってました。

あ、どうなんでしょう。でも僕だから死ななかったと、その先生は言ってました。

分からないです。だから完治した後に、もう１回同じ場所に行ったんです。

現場検証したかったんです。僕も違和感があったから。

岩場にひっくり返っていたのに体に擦り傷がほとんどないんです。ちょっと転んだだけでも凄い傷だらけになりそうな岩場だったんですよ。でも頭にしか傷がない。まるで１８０度ひっくり返されて、ぼんって落とされたような感じ。

はい。それと、もうひとつ。

これは彼女から聞いた話で、僕は記憶がないのですが。

２人のカップルが２０メートルぐらい距離を置いてずっと付いて来ていたと。

これだけの大怪我をしたわけだから、普通だったら近寄ってきて「大丈夫ですか」とか「救急車呼びましょうか」となるじゃないですか。

それなのに、とにかく２０メートルの距離を置いてずっと付いて来て。僕たちが１時間待ってる間もずっと見ていたと。

それが、救急隊の方も見たって言うんですよ。あの２人は何ですか、知り合いですかって聞かれて。「いや違います」って彼女は答えたそうです。

僕たちが運ばれるのを見届けて、去って行ったそうです。

いや、宇宙人関係だと思います。（笑）

「ずっと観察されてたんだよ」と彼女は笑いながら言ってました。僕はその２人をちゃんと見てないので分からないですけど。

たぶん何か理由があったんだと思います。実はその出来事の前に長期休暇をとって３週間でお遍路歩き（走り）をしていたんです。

はい。それでお遍路が終わって、すっきりした気持ちで「よし、また仕事頑張るぞ」みたいに思ってがつがつ仕事を入れていたら、頭割られて仕事ができない状態になってしまいました。

そうそう。少なくともこれまでと同じようなスタンスでの仕事はNGだということなんでしょうね。結果的にこの事故があって、仕事もリセットされ大きく変化しました。

痛かったし、もう二度とこういう乱暴なやり方はしてもらいたくないですけど。

宇宙の同志が、手を変え、品を変え、教えてくれたのかもしれませんね。首が１カ月半で繋がったのもかなり不思議ですし。

そうかもしれません。（笑）

はい。ビビりました。

死そのものに関しての恐怖心はない方だと思います。０とは言いませんけど薄いと思います。ただ恐怖のある領域が１つだけあって、それは自分意識が完全に消滅するみたいな感覚です。

死んだ時にちゃんと魂が抜けて、転生をするってことになれば、自分意識は不滅なのでちゃんと残っています。だから消滅という恐怖は無いんです。

はい。ただ、ずっと不滅でいられるかというと、そうじゃないんです。「存在意識そのものが消える」みたいな感覚に陥ったことがあります。自殺体験の時なんですけど。

はい。首吊った瞬間って苦しいじゃないですか。

苦しいの後、ちょっと楽になるんですよ。それで楽になった時に、だんだん自分の思考とかが狭くなっていって、どんどん小さくなっていくんですよね。

遠くで見てるような感じになっていくわけです。だんだん小さくなっていって、一粒の点ぐらいまでになって、これ消えたら、「あ、自分消えるな」って感覚がありました。

はい。そこには絶対的な恐怖があって、すごく怖い。「自分の存在そのものがこの世から消え去る」という体験なんですけど、これは二度としたくないです。

消えると思っているだけです。普通の人の死は、寝ることにすごく似ていて、寝る瞬間は誰でも一瞬意識が消えますが、そのあと夢とか寝ている自分を認知できますよね。あんな感じです。でも消滅をしてしまうと、寝た後一切のジブン認知がない状態に陥る感じだと思います。だから怖い。

でも、実際は違う。本当に怖いのは「死の恐怖」よりも「消える恐怖」です。

その一歩手前です。あの先は怖くて行けない。

あそこを越えるためには、自分が覚悟を決めて許可しないとたぶん越えられないと思います。

自分という意識が、この世の中から完全に消えてもいいという許可です。

おそらくは。何かの強制力であの領域を越えていくのは、あり得ないと思います。でも今でも凄く覚えてますけど、あれはもう絶対的な恐怖なんです。