借金返済しながら幽体離脱もしていたと。現実と非現実を行き来していたわけですね。
そうです(笑)。
その頃「変な人に出会うようになった」という話でした。どんな人に、どういうふうに会ったのか教えてもらえますか。
まず僕のスピリチュアルメンターみたいな人と会いました。
どこで会ったんですか。
これ言うとドン引きされるかもしれませんが、幽体離脱で会いました。
今さらドン引きもないでしょ(笑)。幽体離脱同士が会うってのは、よくあるんですか。
ないです。
幽体離脱してる人って、そもそも少ないんですか。
少ないです。生霊としての幽体離脱者は100人にひとりくらい。
99人はちゃんと死んでいるいわゆる霊体です。
じゃあ、初めて会った幽体離脱者がその人だったっていうことですか。
初めてではないです。何人か会ってた中で、たぶん意図的に来た初めての人ですね。会いに来たって感じです、僕に。
それで、どういう話になったんですか?
あなた最近こういう形で離脱しませんでしたか、みたいなことを言われて。その状況が現実に起こった体験に酷似していたんです。
ほほう。それで?
で、「この世界がどうなってるのか知りたくないですか」と聞かれて。もちろん知りたいですって答えました。
教えてくれましたか?
いえ。「じゃあ、勉強会に来なさい」って誘われたんですよ。
勧誘でしたか。幽体離脱しながら勧誘するとは凄い!
はい。勧誘されました。(笑)
それは、どういう場所で出会ったんですか?
私の自宅です。
オレンジャーさんの自宅に来たんですか?
そうです。
そういう場合はあれですか。「まあ、おかけください」みたいな。
いえ、立ち話ですね。
幽体ですからね。で、その人が「ちゃんと勉強しないか」と勧誘して来た。
勉強というか「知りたいか、知りたくないか」っていう問いだったわけです。それに対して僕は純粋に知りたいですっていうふうに答えて。
だったら勉強会に来いと。
はい。そういう人たちに対して勉強会をやっているから、そこに来ませんかと。幽体離脱営業!?みたいな感じです。
幽体離脱営業ですか・・・。で、現実世界では、どういうふうに再会したんですか。
翌日、僕が普通に歩いていた時に、向こうから声をかけて来たんです。「昨日お会いしましたよね」って。
幽体離脱営業が「現実の客引き」に変わったわけですね。それで?
それで「あ!昨日の人だ」と気がつきました。
でも幽体の時は形が無いんですよね。よく同一人物だとわかりましたね。
形はなくても当人っていうのは分かります。
それは、どこで分かるんですか?
その人がもつ固有の波動ですね。
波動って言われても・・・分からないです。
言葉で説明は難しいんですけど、でも明らかにあの人だなって分かるんです。現実世界では雰囲気とか気配とかいった感じですかね。
なるほど。それで?
で、その人が土曜日に説明会するから、そこに来ますかって。興味があったので「行きます」って即答しました。
説明会・・・・怪しい。で、行ったんですか?
はい。行きました。都内のとある場所でした。
で、その説明会には、幽体離脱者たちが集まってるわけですか?
いや、幽体離脱経験者もいましたけれども、そうじゃない人もいました。スピリチュアルが大好きな人とか。その場所を提供している方もスピリチュアルに傾倒されていて、なんか怪しい器具を売ってました。(笑)
やっぱり!
僕も50万円で1台買っちゃいました!(笑)
ダメでしょ!借金返済中にそんなもの買ったら!ちなみに勉強会も有料なんですか?
有料です。2000円位だったと思います。
何時間ですか?
6時間です。6時間で2000円だから良心的です。
いやいや、その50万の器具を売るのが目的なんですよ。
確かに!(笑)でもその器具は、僕を誘ったメンターのものではなくて、その場所を貸してくれた女性のものでした。その女性からは凄い営業は確かに受けましたけど。
僕だったらグルだと思っちゃいますけど。随分その彼のことを信用しているんですね。ちなみにその人の職業は何なんですか。
フリーターです。
怪しすぎる。
元々はあるメーカーの開発部にいらっしゃった方なんです。でも在職中に覚醒体験をしちゃったらしくて。
覚醒体験?
はい。普通人間って五感しかないじゃないですか。その五感以外の感覚まで開いてしまって、その状態がずっと続く状態。
なんか想像がつきませんね。
僕はやったことありませんが、いわゆる覚せい剤とかやってる状態に近いと思います。
あるはずのないものが、見えてしまうとか?
はい。普通の人に見えないものが見える。普通の人が感じないことまで感じる。
それって病気じゃないんですか?
一般の人から見れば病気に見えるかもしれません。ただ普通の人は五感の感じる領域が狭められてるんですよ。その感度がぐんと上がった状態。
0.01度の違いが分かるとか。
そうです。そんな感覚です。「超感覚」って言ってもいいかもしれない。
それに目覚めた。
はい。目覚めた結果、職場にいる人たちの気持ちが全部分かってしまうようになったらしいんです。会議などでも人が「口で言ってること」と「考えてること」が違うから、気持ち悪くてその場にいられなくなって。それで苦悩した挙句、職場を辞めて工事現場の旗振りになったみたいです。
旗振り。最近は人形が多いですけど。
体を使う方が楽だからと。月曜から金曜までそれを夜勤でやって、週末に勉強会をやるようになったそうです。
その超感覚に目覚めた時は、イコール幽体離脱した時ですか?
いや、違います。彼の言葉では覚醒と言ってました。そのあと、いろいろ試したうちの1つが幽体離脱体験だそうです。
覚醒・・・
すべてと繋がっちゃうみたいな感覚だそうです。
全てと繋がる?
はい。これは私のイメージなんですけど、ルーシーっていう映画知ってますか?
いえ、知りません。
主人公の女性が麻薬組織に捕らえられて、運び屋として強烈な
LSDをお腹に埋め込まれるんです。その麻薬を指定された場所に運ばないといけないんですけど、お腹の中で袋が爆ぜちゃうんですよ。で、大量の薬が一気に体に入っちゃうんです。そうすると脳が覚醒をし始めて、その覚醒度合いが10%、20%、30%ってどんどんどんどん上がっていくとだんだん超能力者っぽくなってきて、いろんなことをやり始めて最後に100%になった時に本人が消滅するっていう、不思議な映画なんです。
凄い映画ですね。
でも、感覚的にはかなり近いと思います。どんどん覚醒をしていくと、自分と他のものの区別がなくなって来るんですよ。自他の境界線がなくなるって言えばいいのかな。
でも境界線がなくなるのは、覚醒した本人の感覚だけですよね。周りから見たら境界線はきちんとあって、その人がただラリっているだけ。
周りからはそのように見えると思います。ただ自分の体感覚の中では完全に崩れてるんですよ。普通の人がこの体感をできないのは、五感領域の中で自分を閉じてるからなんです。もしも全員がこれを一気に開いてしまうと、誰もこの世の中には出現できなくなると思います。
世の中に出現できない?ちょっと意味がわからないんですけど。
出現できない。なぜかというと、分離して客観的に観察する人がいないと、この世の中の実態って作ることが出来ないからです。
世の中の実態を作ることが出来ない?
はい。観察者の存在がどうしても必要なんです。例えば全員がラリってしまったら、「ラリっている」という状態を定義することが出来なくなるじゃないですか。
う〜ん。なるほど。ラリってるくせに、ロジックはしっかりしてますね。
たしかに!(笑)
<第5回へつづく>
コメント