【第23回】死ぬ恐怖、死なない恐怖

「何が夢で、何が現実か」って話ですけど。

はい。時々分からなくなりますよね。

「これは夢じゃない」って、どうやったら証明できるんでしょう?

それは出来ないですよね。

ですよね?なのに「永久に生きる」なんてことを、人間は目指したりするわけです。

不老不死って権力者の悲願ですからね、昔から。

自分の首から上だけ冷凍保存してる金持ちとか、不思議でしょうがないんですけど。

僕にもちょっと理解できません。

ディズニーランドに行くのは楽しいけど、「君は一生ここから出れない」って言われたら、相当苦痛だと思うんですよ。

それと同じだと?

だって、永久に生きようとすると、自分を縛り付けることになるじゃないですか。

そうですね。

魂が縛られて不自由になるんですよ。何でそんなことをしちゃうのか不思議です。

「分からない」ということに対する恐怖からだと思います。

分からない恐怖?

「輪廻転生」とか「ただ肉体という乗り物を乗り換えていく」ってことが腑に落ちれば、不安とか恐怖って感覚を持たないと思うんです。

死ぬのが怖いってことですね?

宗教の1つの役割はここにあると僕は思っています。

恐怖への対応?

ある種の洗脳ではあるんですけど、不安感とか恐怖心を一旦意識から外して生きやすくする。

死んだ後には天国が待ってますよ、と。

死を「永遠の終わり」と単純に定義してしまったら、やっぱり自分が消える恐怖って凄いと思うんです。

完全に消えて無くなるって、確かに恐怖ですよね。

だから人は「なるべく死にたくない」「なるべくこの命を長らえたい」っていう欲求に自然と向かって行く。

でも若いままじゃないんですよ。だんだん衰えていき、だんだん劣化していく。

まあ、どんなに医学が発達しようとも、若返りはしないので、だんだん老いていきますよね。その現実をどうとらえるのかだと思いますが。

ほとんど動けなくなって。それでもそこに執着するんですかね。

僕は執着しないですけど、執着する方はきっと多いですよね。

地球人以外の宇宙人の中には、「乗り換えていくものだ」って自覚してる星人さんもいるんですか?

自覚してる星人さんがほとんどです。

そうなんですか?

だから彼らが持っている基本的な「死に対する概念」は、地球人が持ってる概念とはだいぶ違います。

そりゃあそうでしょう。それが分かっていれば。

「乗り換える」という感覚もありますし、そもそも肉体を持ってない人たちもいます。

そもそも肉体をもっていない?

はい。そうすると物理的な劣化から解放されて寿命が凄く長くなるわけですよ。

だって肉体がなきゃ、死なないじゃないですか。

だから彼らは、憧れの1つとして「肉体を持って死んでみたい」っていうのがあります。

死んでみたい?

死んでしまう肉体に乗り換えて、いろんなものを体験してみたいっていう願望です。

死ぬからこそ、体験できるものもあると?

はい。だから、わざわざ「肉体を持っている不自由なところ」に転生してくるわけです。

ということは宇宙人にとって、死は浮気ぐらいなもんですか?

なぜ、そこに繋げるんですか?(笑)

だって結婚というルールを作って「浮気しちゃいけない」って決めて、わざわざ不自由を楽しんでるところがあるじゃないですか。

確かに!

きっと「不自由さ」が、人間の楽しさという感覚と繋がってるんでしょうね。

死が存在しないっていうのは、ある意味、相当苦しいことだと思いますよ。

絶対に苦しいですよ。だって、どんなに悲しいことや辛いことがあっても、終わりがないんですから。

永遠に続くゲームみたいな。

スマホの課金ゲームはそんな感じですけど。

確かに(笑)

あれは、終わりがないというよりも、終わらせてくれない。

なんか、手塚治虫さんの「火の鳥」を思い出しますね。

火の鳥?

漫画の中で、主人公が死ねなくなるっていう章があるんですよ。

スマホゲームと同じですね。

で結局、何千年、何万年、何十万年って、死ねなくって。

どうなるんですか?

周りの知り合いは、どんどん死んでいっちゃうじゃないですか。

まあ、死にますよね。

で、知る人もいなくなって、最後はこの星にただ1人だけ残されるんです。

ひどいことしますね。

そういう漫画なので。

で、何か始めるんですか?ひとりで。

ひとりになって、友達を作るために、いろんな実験を繰り返すんですよ。

友達を作り出す実験?

つまり生物を作り始めるんですよ。でも失敗して、なんかアメーバみたいな生物ができちゃったりとかするわけです。

アメーバから友達に進化するのは、だいぶ時間かかりますよ。

でもこの行為って、神の行為だと思いません?

神?

だって、生命という存在を生み出してるんですよ。

確かに。

永久に不滅の存在で、全知全能やりたい放題で、生命を生み出せる。

そりゃあ、楽しそうですね。

けど、そこにあるのは「凄さ」じゃなくて、「孤独と恐怖」なんですよ。

神様は、じつは孤独だと。

孤独と恐怖が、生命を生み出したのかもしれないっていう壮大な話なんです。

おお!すごい。

手塚治虫さんは偉大です。

じゃあ本来は「死があるから」孤独と恐怖があるのではなく、「死がないこと」のほうが孤独と恐怖なのだと。

そういうことですね。

じゃあ死があることを、もっと楽しまなくちゃいけないですね。

単純に、いま生きていることを、純粋に楽しめばいいんですよ。

<第24回へつづく>

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